今回は、買い切りプランの提供で有名なクラウドストレージサービス pCloud をさまざまな観点から徹底解説します。
pCloudの購入や利用を検討している方にとって、必要な情報を網羅的に全てまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。
記事全体はかなり文章量の多い記事になっておりますので、ブックマークの上、お時間のある時に何回かに分けてお読みすることをお勧めします。
pCloudとは
pCloudとは、2013年にスイスで創業したクラウドストレージサービスです。欧州に拠点を置いているため、GDPRに準拠しており、特にプライバシーが確保されたクラウドサービスです。
日本での知名度はまだまだですが、利用者も全世界2000万人以上おり、すでに世界的には有名なクラウドサービスとなっております。
pCloudの主な特徴
買い切りプランの提供
pCloudは、クラウドストレージサービスにも関わらず、一度の支払いで99年間利用可能な買い切りプランを提供しています。金額としては、容量にもよりますが、3万円から〜18万円程度になっております。
買い切りプランの金額
- 500GB:199米ドル=約30,000円
- 2TB:399米ドル=約60,000円
- 10TB:1190米ドル=約180,000円
1回で支払うと考えると少し躊躇する金額ではありますが、毎月のサブスク代から解放されると考えると、長い目で見るとお得です。
以下の記事で実際どれぐらい年間プランがお得なのか?ということを計算しましたので、参考にしてください。結論としては、およそ3年程度で買い切りプランの元が取れることになります。
pCloudの買い切りLifetime 2TB プランを契約してみた | スマホバックアップ利用
ただ、確かにpCloudがサービス終了してしまったら、クラウドサービスを利用できなくなってしまうのも事実です。
pCloudがついにサービス終了?過去の事例や料金から予測 | 2025年版
高度なリンク共有機能
pCloudには、高度なリンク共有機能が搭載されています。
単純にリンク共有する機能に加えて、リンク経由でのダウンロードを防止する機能やパスワードによる保護機能、有効期限を設定する機能、リンク共有でのページのデザインを変更する機能などを利用できます。
pCloudのファイル共有のやり方は?スマホから設定・動画共有は可能?
大容量プランの提供
pCloudでは、他のクラウドストレージサービスと比較して非常に大容量のプランを提供しております。
DropboxやGoogle Drive なども、最大で2~3TBが上限ではありますが、pCloudではデフォルトで10TBのプランを提供しています。また、買い切りプランを追加購入することで、利用可能な容量をどんどん追加購入することができます。
pCloud Encryption による高度な暗号化
pCloudには、pCloud Encryption というクライアントサイド暗号化オプションを利用可能です。(要追加料金)
通常のクラウドストレージサービスでは、サーバ上でデータが暗号化されておりますが、クラウドストレージのサービスの運営元はデータを閲覧することができてしまいます。実際に、クラウドストレージ上にアップロードされたデータの検閲に引っかかってしまい、アカウントが勝手に削除されてしまった事例などもあります。
一方で、pCloud Encryption を利用すると、すべてのデータを暗号化することができるため、完全に自身以外には閲覧することのできない、高セキュリティ・高プライバシーを維持した上でクラウドストレージを利用できます。
Rewind & ファイルバージョン管理機能
pCloudには、ファイルの履歴を30日間保持する Rewind & ファイルバージョン管理機能が搭載されています。そのため、間違ってファイルを編集・上書きしてしまっても、後からデータを元に戻すこともできます。
さらに、有料のRewindの拡張を購入すると、1年前までデータを遡ることができるようになります。
ほとんどの人には不要な機能かもしれませんが、Office関連のデータなどを保存・編集している場合には便利なツールです。
マルチプラットフォーム
pCloudは、GoogleやMicrosoft、Appleなどによって開発されたサービスではない独立したサービスです。
そのため、ベンダーロックインと呼ばれるような特定のOSや環境でしか利用できない機能などがなく、すべてのいずれのOSであっても平等にクラウドストレージを利用できます。
例えば、iCloudでは、Windows用のiCloudアプリは提供されているが、Mac版と比較すると非常に使い勝手が悪いです。また、Android用アプリは全く提供されていないため、Androidアプリの利用には非常に不便です。(ほぼAndroidでは利用できないと言っても過言ではありません)
Google Driveでは、Androidでは端末内のデータを自動で吸い上げてくれる機能はありませんが、iPhoneでは、一部のデータを吸い上げることができません。ただ、pCloudでも、すべてのデータを自動的に吸い上げてアップロードする機能はなく、写真や動画のみが対応となっているため、そこまで大きな差異はないと言えます。
One Driveでは、Windowsでは標準のファイル管理ソフトであるエクスプローラーと高度に連携されており、非常に使い勝手良く利用できます。一方で、Mac では一部不十分と言えるでしょう。とはいえ、pCloud のPC専用アプリである pCloud Drive もそこまで高機能ではないため、大きな差異はないと言えます。
pCloudでは、上記のようなプラットフォームごとの機能差異はほとんどなく、すべてのプラットフォームにおいて平等にすべての機能を利用できます。
EU&US拠点の選択
pCloudでは、EUを拠点にしているオンラインサービスのためEUにサーバを設置しております。
また、USリージョンも用意しており、求める特性に応じて利用する拠点を選択できます。
一般にEUの方がプライバシーに配慮された運営が行われていることが想定されるため、プライバシーを重要視する人はEU拠点がお勧めです。
一方で、日本から利用する場合はEU拠点は地球の裏側となるため、少し通信速度が遅くなることが懸念されます。US拠点であれば日本とUSの間には大容量の海底ケーブルが設置されているため、EU拠点より少しだけ快適に利用できることが想定されます。
ISO 27001 認証の取得
pCloudは会社全体で ISO 27001 を取得しており、全社で適切な情報セキュリティ体制となっていることが第三者機関により確認されております。
また、データサーバもSSAE 18 SOC 2 Type II 認証を取得しており、火災や水漏れなどの不慮な事故が発生しても、万全の体制がとられております。
実際に使ってみたメリットデメリット
実際には私はpCloudの買い切りプランを契約して利用しております。その中で明らかになったメリットやデメリットを解説します。
メリット1. サブスク支払いからの解放
やはり毎月のサブスク支払い料金から解放されるのは非常に快適です。
これまで、Google Drive(複数アカウント)、iCloudなどをバラバラに契約して、年間で積み上げるとかなりの金額になっておりました。それが一度支払ってしまえば、99年間はずっと追加料金を支払わずに利用できるのは本当に精神衛生が良いです。
メリット2. 自動メディアアップデート機能が便利
スマホ版のアプリに搭載されている自動メディアアップデート機能もかなり便利です。
この機能を利用すると、スマホの中に保存されているメディア(写真・動画)をスキャンして、それを高画質のままクラウドストレージサービスにアップデートしてくれます。
この機能は、常にアプリを開いて手動で同期ボタンを押さなくても、勝手に常にデータ同期をしてくれます。さらに、この機能を利用するとアップデートしたデータと、スマホのデータを自動的に比較してすでにアップデートした写真や動画を自動的に見つけ出して、スマホ内のデータを削除することができます。もちろん、データを削除しないでクラウドとスマホ内部の両方にデータを維持しておくことも可能です。
今まで、スマホの容量不足には常に悩まされてきました。パソコンにデータを転送するにしても、パソコン側の容量もそこまで大きいわけではないですし、スマホからパソコンにデータを転送するのも、かなり面倒でした。
それから解放されるのは、非常に快適でした。
写真動画の整理・管理にpCloudの買い切りプランはおすすめ?使い勝手・機能を解説
pCloudの買い切りLifetime 2TB プランを契約してみた | スマホバックアップ利用
メリット3. 動画のストリーミング再生が便利
pCloudでは、デフォルトで動画のストリーミング再生に対応しています。特に、Google Driveなどの他のクラウドサービスでは動画ファイルをアップロードしてから実際にストリーミング再生できるようになるまでには、数十分〜数時間待たないとデータを再生することはできませんでした。
一方で、pCloudではデータをアップロードしたその瞬間からストリーミング再生することができます。
また、動画のシーケンスなども非常に高速で、全くストレスを感じることなく動画を閲覧することができます。
実際に、以下に動画を再生しているときの画面録画を載せておきます。
pCloudは動画再生できない・遅い?ストリーミング再生はできるのか?検証
メリット4. データ転送が思ったより爆速だった
事前の調査では、pCloudは他のクラウドストレージサービスと比較すると、若干転送速度が遅いと想定していました。しかし実際に利用してみると、全くそんなことはなく、非常に快適の利用することができました。
ダウンロード速度を実際に計測してみたところ、Google Drive などと全く同じ転送速度で利用することができました。また、アップロード速度については、Google Drive より若干遅い程度の転送速度で利用可能でした。
pCloud vs Googleドライブ徹底比較 速度編 | アップロードとダウンロード速度を比較
実際に20枚の画像をアップロードしているときの画面録画を以下に示します。20枚の写真も、一瞬でアップロードできていることがわかります。
メリット5. ファイル共有機能が便利
pCloudのファイル共有機能も非常に便利でした。ほとんどのクラウドストレージサービスでは、リンク共有では相手のメールアドレスを指定するか、もしくは、全員がアクセス可能なリンクを共有するかの2つの選択肢しかありませんでした。
そのため、特定の人に絞ってデータ共有するには相手のメールアドレスを知る必要があり、若干手間でした。
pCloudでは、リンク+パスワードベースのリンク共有機能を利用できるため、気軽にちゃんとアクセス制限を行うことができました。
pCloudのファイル共有のやり方は?スマホから設定・動画共有は可能?
メリット6. どこからでもアクセス可能
これまではクラウドにアップロードするまでにはないデータは、手持ちのHDDに保存しておりました。ただ、毎回データにアクセスするたびにHDDを接続・マウントするのは手間でした。
特に、大容量のHDDではマウントにもかなり時間がかかり、マウントに失敗してしまうこともありました。
また、旅行などの出先でアクセスすることもできないため、急遽過去のデータにアクセスしたいときにも、困ったことがありました。
2~10TBの容量を契約していると、たくさんデータを入れ込んでも全然問題なく利用できるのでかなり便利です。
デメリット1. 写真のプレビューが最初は若干遅い
写真をアップロードしてから数日間は、写真のプレビューが少しだけ遅かったです。そのため、ファイル一覧からお目当ての写真を見つけるのに少し不便さがありました。
ただ、これも最初の数日間だけで、少し経つと、サムネイルの自動作成機能が働いたおかげか、Google Drive などでの利用と遜色ないぐらいスムーズに写真一覧を見ることができるようになりました。
ただ、まだ利用を開始してから数ヶ月程度ですので、さらに写真が溜まってきたときにどうなっていくかということは長期的に確認していく必要があります。
デメリット2. pCloud Driveが少し不安定
Mac版のpCloudアプリである pCloud Drive を利用していたのですが、若干このアプリが曲者でした。
データが消失するようなことはなかったのですが、ファイルのアップロードがうまくいなないことや、新規フォルダを作成しても、それが反映されないようなことがありました。
こちらについては、もし利用を検討している方は、少し注意が必要です。一方で、他のメリットを考えるとそこまで大きなデメリットには感じない程度です。
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