今回は動画データの長期保存におすすめなクラウドストレージを5つ紹介します。
動画データの容量
はじめに保存する動画データの容量について見積もる必要があります。特に、最近のスマホやカメラで撮影される動画は非常に解像度も高くなっており、4Kでの動画保存が当たり前になっております。
今回は、年に6回のイベント行事のある家族を想定して1年間あたりに必要となる容量を見積もってみます。
仮に1イベントあたり1時間の動画を撮影するとなると、1イベントにつき、約100GBの容量を消費することになります。
1年間に6回のイベントとなると、年間600GBの容量を消費することになります。
仮にお子さんが0歳の時から、18になる時までを想定すると、合計で 600 x 18 = 約10TBの容量が必要となります。
実際にはこれからもさらに動画の画質が向上し、もっと高解像度でデータを保存することが当たり前になることが想定され、さらに必要な容量は増加することが見込まれます。
動画データの長期保存に用いるクラウドストレージの選定観点
1.コスパ
まずは何よりもコスパが重要です。長期保存を前提にするとどんなに短くても5年、長い場合は20年以上データをクラウドストレージ保管することになると思います。
そういった際に、毎月の支払いの金額は非常にダメージが大きいです。
クラウドストレージサービスによっては、毎月の支払いの必要がない、買い切りプランを提供しているサービスもありますので、そういったサービスの利用も検討すると良いと思います。
2. 信頼性
せっかく撮影した大切なデータを保存する上でもう1つ重要な観点はサービスの信頼性です。
そのため、新規のクラウドサービスではなく、大体サービスの開始から10年以上経過しているサービスや、利用者数が世界で多いサービスを利用することがお勧めです。
3. セキュリティ・プライバシー
家族の思い出を保存しておく上でセキュリティ・プライバシーの保護も重要な観点です。
過去には、有名人がクラウドストレージに保存していたデータが流出する騒ぎもありました。
クラウドストレージの運営元がちゃんと、ISOなどの情報セキュリティに関連する認証を取得しているか、また、認証方式として二要素認証対応しているかという点も重要です。
また、クラウドストレージと他のサービスが強く紐づいているサービスは少し注意が必要です。
攻撃者からすると、基本的には見知らぬ個人のクラウドストレージに保存された写真や動画データに興味はあまりなく、攻撃を行うするモチベーションがありません。
一方で、Google Drive などのように、データアクセスの認証と、決済関連の認証が全く同じアカウントで利用可能な場合は、攻撃者にとっても金銭的利益を得られる可能性があるため、攻撃するモチベーションが高まります。
4. ストリーミング再生
クラウドストレージ上に保存された動画データを、ダウンロードせずにアプリやWeb上からYouTubeのようにストリーミング再生できるか否かという観点も非常に重要です。
特に4K動画データの場合は、ダウンロードするにも一苦労なことが多く、毎回ダウンロードした上で動画を閲覧するのは一苦労なことが多いです。
動画データの長期保存におすすめなクラウドストレージ
上記の観点を踏まえて、動画データの長期保存におすすめなクラウドストレージサービスを以下に示します。
Google Drive
Google Driveは言わずもがな、ほとんどの皆さんが無料プランで利用しているクラウドストレージサービスになっております。世界的ビッグテックである Google が運営しており、信頼性が非常に高いと言えるでしょう。
一方で、ネックとなるとのは、コスパの悪さと、セキュリティ・プライバシー面です。
Google Drive の料金は、基本的には月額支払いのサブスクリプション方式となっています。
- 100GB/月:290円
- 200GB/月:440円
- 2TB/月:1450円
容量が200GB以下のときは、あまり毎月の支払いを気にしなくて良い500円以下の料金で利用することができます。
一方で、容量が2TB以上とんると、毎月約1500円、年間にすると、およそ2万円程度の料金が必要となります。
動画データの長期保存を前提とすると、これが毎年支払う金額となるので、少しお財布には痛い金額になります。また、2TBに収まらない場合はさらに追加でどんどん金額を追加する必要があり、仮に10TBの動画データを保管する上では、毎月7500円もの金額をGoogleに支払う必要があり、さすがにちょっと高すぎるように感じます。
ちなみに、Googleドライブは過去にデータ消失インシデントを引き起こしていることも頭に入れておく必要があります。
「Googleドライブ」、一部ユーザーの半年分のファイルが消失–原因は調査中
pCloud
pCloudは、スイス発のクラウドストレージサービスで動画ファイルの保存や再生に便利なストリーミング再生機能が搭載されております。
また、pCloudの最大のメリットは、買い切りプランが提供されていることです。
pCloudの買い切りプランを契約すると、最初の1回は少し高めな金額を支払うことになるのですが、契約して仕舞えばその後99年間は毎月の支払い=サブスクリプションなしに、利用できます。
およそ2TBであれば4万円、10TBであれば13万円程度の金額を一度支払えば、99年間その容量を利用することができるようになります。
pCloudの買い切りプランがお得?何年で元が取れるか?比較してみた
そのため動画データの保管のように、大容量データを長期にわたって保管する上ではコスパ最強のクラウドストレージサービスとなります。
信頼性としては、pClouは2013年にサービスを開始しており、すでに12年間以上のサービスの提供・運用実績があり、その間でもデータ流出や消失などの重大なインシデントを起こしたことはありません。
GoogleやAppleなどが運営するクラウドストレージサービスと比較すると、信頼性が1段劣るのは間違いないですが、そこまで気にする必要はないと考えれます。
セキュリティ・プライバシー面でも、pCloudは情報セキュリティの認証規格 ISO 27001 を取得しているため、第三者によって適切なセキュリティレベルを担保していることが保証されております。またあくまでもpCloudで利用するアカウントはpCloud専用のアカウントになり、ハッカーが求めている決済情報などの情報は扱いません。そのため、アカウントが攻撃されるリスクが他のクラウドストレージと比較して低い点も重要なポイントとなります。
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またデータセンターについても、SSAE 18 SOC 2 Type II & SSAE 16 SOC 2 Type II に認定されたデータセンタを利用しているため、火災や第三者の侵入などから完全にデータを保護することができるとされております。さらに、アップロードされたデータも、3つのサーバロケーションに5個のコピーが作成されて管理されるため、データが急に消えるというリスクも極めて低いと言えるでしょう。
また、パスワードベースのファイル共有機能も提供されているため、友達や家族に安心して動画データを共有することができます。
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Dropbox
Dropboxは、クラウドストレージサービスを専業で行っている業界の中では老舗企業です。こちらも信頼性としては極めて高いと言えるサービスとなります。
コスパはあまり良くなく、以下の金額となっております。
- 2TB:1500円/月
- 3TB:2400円/月
Dropboxは、ファイル同期のスムーズさや、Microsoft Officeと連携した共同編集機能などが便利ではありますが、一方で動画のストリーミング再生機能などは弱いのが現状です。
撮影した動画を複数台のPCを用いてみんなで動画編集をしたり、ビジネスで利用する上ではSSO認証の利用など便利な点も多いですが、個人の動画データの保存にはコスパの観点からわざわざ選ぶ必要はないでしょう。
OneDrive
OneDriveも、Microsoft が運営するクラウドストレージサービスで、Windows PC や Microsoft Officeとの連携機能が優れています。
特にPowerPointnファイルやExcelファイルなどを、Webブラウザ上から簡単に編集できたり、みんなで共同編集できる機能は非常に便利です。
一方で、動画データの保存に適した機能はあまり提供していないため、こちらもDropboxと同様にわざわざ選ぶ必要はないでしょう。
iCloud Drive
iCloud Drive はAppleが提供するクラウドストレージサービスです。特にiPhoneとの親和性の高さでは他のクラウドストレージサービスと比較して最強です。
一方で、Android向けのアプリの提供がない点やWindowsパソコン向けのiCloudアプリは機能が少し使いづらい点など、動画データの保存には残念ながら不向きです。
また、12TBプランを利用すると毎月9000円もの支払いが必要となるため、コスパもpCloudやGoogle Drive と比較すると悪いです。
結論
結論としては、信頼性を重要視して、コスパは二の次でも問題ない方はGoogle Drive。
信頼性も重要視しつつも、長い目で見た時のコスパの良さを重要視したい方はpCloudが、動画データの長期保存にはおすすめです。
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