今回は買い切りプランで有名なクラウドストレージサービス pCloud と 老舗サービスである Dropbox を徹底比較してみます。
比較表
まずはpCloudとDropboxの比較表を示します。
機能カテゴリ | pCloud | Dropbox |
---|---|---|
無料プラン容量 | 10 GB(招待等で最大20 GBまで拡張可能) | 2 GB(招待等で拡張可能) |
有料プラン | • Premium 500 GB • Premium Plus 2 TB • Family 2 TB(最大5ユーザー) • Business プランあり |
• Plus 2 TB • Family 2 TB(最大6ユーザー) • Professional 3 TB • Business プラン各種 |
価格(買い切り:USD) | • Premium 500 GB:199 USD(1回払い) • Premium Plus 2 TB:399 USD(1回払い) |
• Plus 2 TB:$11.99/月 • Professional 3 TB:$19.99/月 |
ライフタイムプラン | あり(500 GB/2 TB:一括買い切り) | なし |
クライアント側暗号化 | pCloud Encryption オプション(+$4.99/月)で完全クライアント暗号化 | 標準ではサーバーサイド暗号化のみ |
同期方法 | • デバイス間同期 • 仮想ドライブ(pCloud Drive) |
• デバイス間同期 • スマートシンク(必要時のみダウンロード) |
ファイル共有/コラボ | • リンク共有、パスワード保護、有効期限設定 • フォルダ共有 |
• リンク共有、パスワード保護、有効期限設定 • チームフォルダ、コメント機能 |
ファイルバージョン管理 | 15日間(Business:30日間) | 30日間(Professional/Business 無制限) |
最大ファイルサイズ | 無制限 | 50 GB(デスクトップアプリ経由は無制限) |
プラットフォーム対応 | Windows, macOS, Linux, iOS, Android, Web | Windows, macOS, Linux, iOS, Android, Web |
オフラインアクセス | あり(pCloud Drive 経由) | あり |
セキュリティ認証 | ISO 27001, GDPR 準拠 | ISO 27001, SOC 2, GDPR 準拠 |
API/開発者向け | RESTful API, WebDAV | RESTful API, SDK 各種 |
ユニーク機能 | • ライフタイムプラン • 仮想ドライブでローカル容量節約 |
• スマートシンク • Dropbox Paper(ドキュメントコラボ) |
pCloudの方が優れている点
1. コスパ最強の買い切りプラン
pCloudが最も優れている点は、買い切りプランの提供です。
Dropboxでは、3TBプランを利用していると毎月2000円程度を支払うことになります。
年間に換算すると年24,000円になります。
一方で、pCloudでは、4万円程度の買い切りプランを購入しておけば、毎月の費用なしに死ぬまで利用できます。
およそ3年間の利用が損益分岐の基準となっており、3年未満に利用であればDropboxの方が高コスパ、3年以上の利用であれば使えば使うほどpCloudが高コスパとなります。
pCloudの買い切りLifetime 2TB プランを契約してみた | スマホバックアップ利用
2. クライアント暗号化
pCloudではオプションではありますがクライアント暗号化機能を搭載しております。
この機能を利用するとサーバにアップロードする前に、PCやスマホのアプリ側でデータを暗号化する形になります。そのため、pCloudの運営者もあなた以外の誰もあなたのデータを確認することができなくなります。
一方で、Dropboxはそういったクライアント暗号の仕組みは提供されておらず、サーバサイド暗号化のみに対応しております。
pCloudの安全性を徹底調査 | データセンターや暗号化方式・パスワード管理も?
3. ストリーミング再生
pCloudではWebアプリやスマートフォンアプリに動画や音楽のストリーミング再生機能が標準搭載されております。
そのため、アップロードしたファイルを毎回オフラインにダウンロードすることなく、ストリーミング再生することができます。
動画のシーケンスも非常に高速であり、YouTubeを見るような形で利用できます。
Dropboxも一部のファイル形式にはストリーミングに対応しておりますが、機能としてはpCloudには劣ります。
pCloudは動画再生できない・遅い?ストリーミング再生はできるのか?検証
4. EUロケーション
pCloudでは、通常のプランでもデータを保管するロケーションをEU・米国のいずれかから選択できます。
一般的にプライバシーの観点では、EUの方が良いと言われています。
Dropboxの方が優れている点
1. ソフトウェアの成熟度
Dropboxは一般消費者はもちろん、ビジネスでも広く利用されているクラウドストレージサービスです。そのため、同期時の不具合など、ソフトウェアの実装上の問題が発生する可能性が極めて低いことが想定されます。
2. 同期メカニズム
Dropboxは、独自のファイル同期メカニズムを取り入れています。一般的なクラウドストレージサービスでは、PC上の特定のフォルダを同期する設定にした際に、ファイルが完全にコピーされてからサーバへのアップロードや、他のPCへのダウンロード処理が行われます。
一方で、Dropboxはファイルの完全コピーなどが終わる前に、ファイルの断片的な情報だけでもどんどんサーバにアップロードして、他のPCにダウンロードする処理が行われます。
特に大容量のデータをPC間で同期する際には、一般的なクラウドストレージサービスにおいて同期にかかる時間の半分〜2/3ぐらいの時間で同期が完了します。
3. 共同編集
Dropboxには、Microsoft Office と連携する機能が搭載されており、この機能を利用するとWeb版またはアプリ版のMicrosoft Officeアプリから、ファイルを開いて共同編集することができます。
つまり、OneDriveと同じような使い方ができる分けです。一方で、pCloudではオフィス系のソフトとの連携機能は一切搭載されていないため、共同編集することはできません。
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