pCloudがついにサービス終了?過去の事例や料金から予測 | 2025年版

今回は、買い切りプランで有名なクラウドストレージサービスである pCloud のサービス終了疑惑について調査しました。

結論

2025年7月現在、pCloudのサービス終了や不透明感についての情報は全くありません。

それでは実際にサービス終了や倒産に追い込まれてしまった際に起きうる事象・リスクを検討してみましょう。

1. データ消失リスク

サービスが突然終了してしまった場合には、pCloudにアップデートしていたデータがすべてアクセスできなくなってしまうリスクがあります。

ただ、過去にサービス終了となってしまったクラウドストレージサービスのほとんどは事前にサービス終了が公示され、その後一定の猶予期間を設けた後で終了しています。

年月 サービス 主な内容/理由 猶予期間・影響
2014-06-01 Ubuntu One(Canonical) 無料ストレージは困難と判断し終了 4/2発表 → 7/31データ削除
2015-11-15 Wuala 採算が取れず終了 約3か月の移行告知
2016-02-26 / 03-31 Dropbox Mailbox / Carousel クラウドサービス機能は存続 約3か月の移行猶予
2016-05-20 Bitcasa Infinite Drive 無制限容量は採算が取れず 4/21発表 → 5/20データ削除
2023-12-31 Amazon Drive 写真・動画は存続、他は終了 2022/07発表→2023/12データ削除、写真・動画は存続

一方で、実際に事前の猶予時間なく、急にサービス停止に追い込まれたサービスもあります。

ただ、ほとんどのサービスはビジネス上の問題ではなく、不慮の事故やその他の要因の結果としてのサービス終了となっています。pCloudは、すべてのデータについて物理的に分散された3つのデータセンターに分散して保存しているため、すべてのデータが消える可能性は極めて低いです。

発生日 サービス 何が起きたか
2009‑01‑30 Ma.gnolia 早朝にデータベースが破損し、即日サービス停止。復旧にも失敗し実質的に閉鎖
2012‑01‑19 Megaupload FBI がドメインを即日押収・遮断し、全サイトが即時ダウン
2020‑10‑01 Zoolz Home 顧客向けメールで「effective immediately」と終了を宣言。同日から新規バックアップ停止
2021‑03‑10 OVHcloud Strasbourg DC データセンター火災で 370 万超サイトが一瞬でオフライン
2019‑03‑18 公表 MySpace 旧コンテンツ サーバ移行ミスで 2003‑2015 の楽曲・写真等 約 5,000 万曲を喪失

2. データ漏洩リスク

サービスが他の企業に譲渡されてしまった場合には、自身のデータがpCloudの運営元以外の企業に渡ってしまうリスクがあります。

クラウドストレージサービスではありませんが、過去に有名なサービスが中国系の企業に買収されてしまい、情報の悪用が懸念される事例があったこともあります。

例えば、一部の層には非常に人気のあったブラウザ Opera が、2016年に中国系の企業に買収されてしまい、ブラウザ経由の通信や行動履歴が漏洩してしまうのではないか?という噂が流れたこともありました。

pCloudの料金はサブスクリプションモデルではなく、買い切りプランがメインとなっております。

そのため、一般的なサービスと比較して、買収したとしても継続的な収入が見込めないことが想定されるため、買収されるリスクは低いと考えられます。

3.契約の不履行

10TBの契約となると、一括でおよそ15万円をpCloudに支払うことになると思います。

それだけの金額を支払ったにもかかわらずサービスが停止してしまうと、返金を受けることができずに契約不履行になる可能性があります。

一方で、通常のサブスクリプションサービスとpCloudの買い切りプランを比較すると、およそ3年で元が取れる計算になります。

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そのため、契約から3年以内にサービスが終了してしまった場合は大損。一方で、それ以降利用できている場合には、あまり金銭的な損はないと考えることができます。

pCloudの過去の歴史

pCloudは、サービス開始当初は買い切りプランのビジネスモデルとして成り立たないと言われていたこともありました。

しかし、pCloudがサービス開始したのは 2013年であり、すでに14年間も問題なくサービスを運営してきた実績があります。様々なサービスが誕生しては消えていく、オンラインサービス業界において同じ会社が1つのサービスをずっと運営できているというのは珍しいと言えるでしょう。

pCloudは2013年に当初はブルガリアでサービスが開発され、その後スイスに会社を設立しました。

実は、サービス開始のタイミングから買い切りプランを提供していたのではなく、買い切りプランを提供し始めたのは2017年となります。

この買い切りプランの提供を皮切りに、ユーザ数が一気に増え始め、2019年には全世界900万人、2024年には全世界1900万人に到達しております。

pCloudのビジネスモデルが持続可能である理由

pCloudの買い切りプランがビジネスモデルの観点から持続的ではないという指摘があります。

実際のところ公式発表によると、2024年の年間売り上げは 1,020万ドル、日本円では約14億円にも上ります。

また、pCloudは外部のクラウドサービスを利用するのではなく、自社所有のサーバを利用しているため、サービス運営にかかるコストをかなり節約していることがわかります。

そのため、利益率も高いことが想定され、経営としても全く問題ないことが想定されます。

また、HDDの容量あたりのコストも年々減少しております。実際に実データから試算してみましょう。

pCloudは、2TB買い切りプランを約350ドルで販売しております。すべてのユーザが2TB全てを常に使うわけではなく、平均すると500GB~1TBぐらいの容量が利用されていると仮定できます。

一方で企業向けHDDの1TBあたりの費用はおよそ11ドル程度です。(参考:DiskPrices

pCloudがデータを3つのHDDに分散して保存するとしても、ユーザが保存する1.5TBしかかからず費用としてもおよそ17ドル程度です。

つまり、pCloudは350を料金として受け取りながら、実質的な費用は毎年新規HDDを利用するにしても、年17ドルしかHDD費用はかからないことになります。

もちろん、実際にはネットワークなど様々なコストがかかることが想定されますが、そうはいっても非常にビジネスモデルとしては現実的、むしろ利益率の高いサービスであることが想定されます。

pCloudがさらに人気になる理由

pCloudは、今後も人気になることが想定されます。その理由として、「世界的なサブスク疲れ」や「ビックテックに対する拒否反応の増加」が挙げられます。

世界的なサブスク疲れ

様々なサービスがサブスクとして提供されており、平均的に約18,000円をサブスク費用に費やしており、サブスク疲れが指摘されています。

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また、金額以外の観点でも複数のサブスクの管理が大変であることも精神上の負担であることが指摘されています。

pCloudは、クラウドストレージサービスとしては非常にめずらしい買い切りプランを提供しており、そういった不安を抱えるユーザの受け皿になる可能性が非常に高いです。

ビックテックに対する拒否反応の増加

GoogleやAmazon、Appleなど世界的なビックテックに対する拒否反応が世界的に高まっています。

その背景として、世界的なプライバシー意識の高まりなどが挙げられます。

ビッグテックとは一定の距離を置いて、自社運営のデータセンターを用いてサービスを提供しているpCloudは今後も有望です。

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